背景・経緯
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東日本大震災やコロナ禍を経て、住む場所や生き方を見つめ直す人が増えてきた。地方移住への関心が高まる一方で、「どこがいいかわからない」と立ち止まる人も多い。47都道府県を取材し、自身も首都圏から長野県信濃町に移住した編集者・徳谷柿次郎さんは「そもそも地方移住という言葉の解像度が低すぎる」と語る。つまり、憧れや言葉の響きだけで、現地のリアルな暮らしのイメージがぼんやりしているということだ。徳谷さんは、移住先を「選ぶ」前に、まず自分を「知る」ことの大切さを強調する。
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徳谷さんの移住体験は、単なる「引越し」とは異なる「移住」という概念がより身近なものとして浮かび上がってきた。2011年の東日本大震災を機に、「このまま大都市で暮らしていていいのか?」という危機感を覚えた徳谷さんは、その後近年のライフスタイルの多様化も重なり、「人が移り住むこと」は社会的なトレンドへと定着していった。
詳細・ポイント
徳谷さんが最初に問うのは、意外にもシンプルなものだ。「まず、あなたは海派ですか?山派ですか?」と。自分が生まれ育った土地が山だったのか、海だったのか、もしくは都市だったのか。そんなアイデンティティの話がすごく重要だと思っていて。山のルーツを持っている人は、山に囲まれた風景を見ると安心感を得られるし、季節の変化を楽しめる。でも海の文化で育った人は、山の閉塞感にプレッシャーを感じて息苦しくなることがある。同じ日本で育っても、その人の育ってきた背景によって景色の受け取り方が大きく違う。
さらに、日当たり・日照率も重要な要素だと徳谷さんは話す。例えば北陸が日照率の低さに合わせた家の文化を育んできたように、気候と暮らしは深く結びついている。徳谷さんは、人口30万人程度の中核都市がすごく面白くて、移住先として真っ先にその軸で選べばいいのにと思っているくらいです。20万~30万人規模になると、本屋とか映画館とか喫茶店といった文化的な店舗が充実していますし、この10年でそういった面白い個人店はめちゃくちゃ増えています。
業界への波及効果
この動きが建設業界全体にどう影響するか、徳谷さんの見解は興味深い。都市を捨てずに自然へ近づく、「40分圏内」という発想は、他の地域にも応用できる。京都であれば、滋賀の湖西エリアがそれにあたる。比叡山の麓、琵琶湖の西側に位置するこのエリアは、100以上の一級河川から水が流れ込む琵琶湖のおかげで、40度近くなる夏でも水温が低く保たれている。山を越えれば40分ほどで京都の中心部へ出られる。福岡であれば糸島市だ。福岡市内の飲食や文化を享受しながら、車で40分走れば海沿いの糸島市にアクセスできる。
このような移住の潮流は、建設業界に新たな機会をもたらす。自然豊かな環境にあわせた住宅の設計や、都市と自然の両利を得るインフラの整備など、様々なニーズが生まれることだろう。建設業界としては、このような移住の潮流に応えるべく、住宅や都市の設計において新たなアプローチを模索する必要がある。
実務者のアクション
読者が「明日から」取るべき具体的なアクションは、まず自分に合う自然のイメージを探ることだ。山か海か、都市か自然か、自分が何を求めているのかを明確にする。次に、人口30万人都市を移住先の候補に挙げる。文化的な店舗が充実し、自然へのアクセスも良好な都市を探す。最後に、「40分圏内」という距離感で都市と自然の両利を得る移住先を選ぶ。都市から自然へアクセスできる距離感を考えることで、より質の高い移住生活を送ることができる。