背景・経緯
近年、住まい探しにおける環境が大きく変化している。マンションを中心に住宅価格の上昇が続き、日銀の利上げによって住宅ローンの変動型の金利が上昇している。そんな中、全宅連・全宅保証は毎年9月23日を「不動産の日」と定め、消費者向けに、住居の居住志向及び購買等に関する意識調査を実施している。詳細はSUUMOジャーナル(新しいタブで開きます)で報じられている。
この調査では、「住まい探しにおける生成AIの活用」に関する項目を新たに追加した。「住まい探しや物件の比較・検討において、ChatGPTやGeminiなどの『生成AI』をどのように活用したか」を複数回答で聞いた結果を見ると、最も多い回答は「生成AIを使ったことはなく、今後も利用するつもりはない」の27.5%だった。一方で、「希望エリアの地域情報の収集・比較」(11.3%)や「不動産や契約に関する専門用語の解説・意味調べ」(9.6%)、「物件情報(間取りや設備など)のメリット・デメリットの整理・比較」(9.4%)と多様な使い方をしていることも分かった。
また、従来は不動産会社の担当者などに相談していた「物件選びの条件整理や、住まい探しの悩み・不安の相談」については、7.7%が生成AIを利用していた。生成AIならすぐに聞けるので効率がよいのか、生成AIを信頼しているからか、そのあたりはよく分からないが、生成AIの利用が身近になっていることがうかがえる結果だ。
詳細・ポイント
調査対象5000人のうち33.9%が、住まい探しにおいてなんらかの形で生成AIを利用したことがあると回答したが、これを年代別で比較した結果を見ると、「生成AIを利用したことがある」という回答は、20代では過半数の53.4%に達し、30代でも半数近い42.3%に達している。一方で、60歳以上では14.8%、50代では19.6%とまだ利用経験は少ない。やはり若い世代ほど、新しいツールを有効に活用していることがよく分かる。
「買い時」や「住宅ローンの金利上昇」の影響は?「いま、不動産は買い時だと思うか」と聞いた結果を見ると、「買い時だと思わない」が37.7%で前年より3.0ポイント増加した。一方で、「買い時だと思う」は21.6%でこちらも前年より0.8ポイント増加した。住宅価格が高騰しすぎるうえ、住宅ローンの金利が上昇したことで、手が届きにくくなっていることがうかがえる半面、住宅ローンの金利が上昇局面に入り、さらに上がってしまう前に買っておこうと考える人がいることも分かる結果だ。
業界への波及効果
住まい探しを取り巻く環境は不透明だ。円安や原油高などがまだ続く影響もあり、当面は住宅価格が下がらないだろう。日銀への金利上昇圧力は強まっているので、利上げが加速することも予想され、変動型の住宅ローンの金利への影響も気になるところだ。中東問題のような状況がいつどこで起こるか予測は難しく、購入環境の変化は見通せない。
この動きは建設業界全体に大きく影響する。住宅価格の上昇や金利上昇は、住宅購入を躊躇させ、住宅市場の縮小につながる可能性がある。また、若い世代が生成AIを活用することで、不動産会社や住宅ローンの金融機関などの業界が変化する可能性もある。
実務者のアクション
実務者は、住まい探しにおける生成AIの活用を考慮し、住宅購入の検討に変化が生じる可能性を考える必要がある。さらに、住宅ローンの金利上昇を受けて、購入の検討に変化が生じた場合は、借入額や予算を縮小したり、エリアを変更したりする必要がある。変動金利から固定金利への切り替えを検討したり、複数の金融機関を比較したりすることも必要である。