背景・経緯
令和6年能登半島地震は、2024年元日の夕方に発生し、石川県七尾市では2万4,000棟以上の建物が被害を受けた。公費解体の対象となった建物は約6,600棟に上り、市の行政体制にとって前例のない規模となった。このような大規模な公費解体事業を効率的に進めるために、情報の可視化と共有が重要となる。
建設業界では、地理情報システム(GIS)を利用した情報管理が注目されており、ArcGISはその代表的なツールの一つである。ArcGISの導入により、被災建物の分布や解体の進捗状況を地図上で可視化することが可能になり、事業の管理が効率化される。
詳細・ポイント
七尾市や石川県構造物解体協会、パシフィックコンサルタンツは、ArcGISの導入を決定し、2024年8月から情報の一元管理を開始した。関係者は毎週データを受け取り、ArcGISのデータを更新する役割を担った。ArcGIS上に集約された被災建物マップにより、全壊・半壊・一部損壊などの被害状況が色分け表示され、量的な分布がひと目でわかるようになった。
ArcGISの導入により、建物の個別事情を把握し、円滑な解体工事を実現することが可能になった。例えば、アスベストを使用した建物や大型物件については、別マップとして表示できるようにした。また、鉄道近接物件については、線路中心線から3.5mを敷地境界、そこから5m以内の建物を対象物件としてArcGIS上で抽出した。
業界への波及効果
この事例は、建設業界全体に大きな影響を与える可能性がある。ゼネコンや設計事務所は、自社の事業にArcGISの導入を検討することが必要となる。情報の可視化と共有により、事業の進捗が円滑になることは、建設業界全体に波及効果をもたらす。
また、災害廃棄物の仮置場の最適配置についても、ArcGISの導入により大きな効果がもたらされた。対象建物から各仮置場までの距離を計算し、最適な搬入先を検討することが可能になり、運搬時間の短縮や燃料費の削減が実現した。
実務者のアクション
読者は、以下のアクションを取ることができる。
* ArcGISの導入を検討し、自社の事業に情報の可視化と共有を実現する
* 災害廃棄物の仮置場の最適配置について、ArcGISの導入を検討する
* 情報の可視化と共有により、事業の進捗が円滑になることを確認し、自社の事業に活かす