背景・経緯
土木分野のBIM/CIMが原則適用へ進んだのに対し、建築分野は民間発注が中心のため、標準化の進め方が異なる。国土交通省の建築BIM推進会議(新しいタブで開きます)は、こうした建築分野固有の事情を踏まえた枠組みづくりを担ってきた。
その成果の一つとして、令和7年3月に「BIMを通じた建築データの活用に関するガイドライン Ver.1」が公開されている。
詳細・ポイント
議論の重心は、モデルをどう作るかから、データをどう受け渡すかへ移っている。設計者が作ったモデルが施工者に渡らない、施工者のモデルが維持管理に渡らないという断絶が、投資対効果を毀損してきたためである。
ガイドラインが扱うのは、どの段階で誰がどの情報を持つかという役割分担と、その情報をどの粒度で確定させるかという整理である。設計段階でオーバースペックなモデルを作っても、後工程で使われなければコストにしかならない。
業界への波及効果
発注者がBIMデータの引き渡しを要求する案件が増えれば、設計・施工の契約条件にデータ納品が組み込まれる。成果物の定義が図面からデータへ広がることを意味する。
中小の設計事務所・工務店にとっては、ツール導入コストに加えて運用ルールの整備が課題となる。業界標準が定まるほど、独自運用は不利になる。
実務者のアクション
設計者は、自社のモデル作成ルール(LOD、命名規則、分類体系)を文書化しておきたい。ガイドラインへの対応は、この土台がないと個人技に依存する。
発注者側は、BIMデータで「何をしたいのか」を先に決めることが重要である。維持管理で使うのか、施工数量に使うのかで、要求すべき情報粒度は大きく変わる。