背景・経緯
公共建築事業の発注は、企画立案、予算確保、設計者選定、設計、施工者選定、施工という段階を経る。国土交通省の公共建築事業の発注フローにおける課題、事例等に関する資料(新しいタブで開きます)では、この流れに沿った課題が整理されている。
各段階は担当部署が異なることが多く、情報が引き継がれる過程で前提が失われやすい。
詳細・ポイント
典型的な手戻りは、企画段階で置いた前提が設計段階で成立しないと判明する場面で生じる。敷地条件、法規制、必要諸室の面積など、企画時点では概算だった項目が具体化する過程で矛盾が表面化する。
もう一つの構造的な制約が、予算確保のタイミングである。予算が先に固まると、設計の自由度はその枠内に限定される。本来は要求の優先順位を決める議論が必要な場面で、一律の圧縮が行われやすい。
業界への波及効果
この構造は、設計者が「予算内に収める作業」に追われる原因になっている。本来の設計行為である価値の最大化に割ける時間が減る。
発注者支援やCM方式の活用が広がっている背景には、この段階間の断絶を埋める役割への需要がある。
実務者のアクション
発注者側は、企画段階の前提条件を一覧化して設計者に引き継ぐ運用を勧めたい。決まっていることと決まっていないことを区別して渡すだけでも、初期の混乱は減る。
設計者側は、与条件の確認を最初の成果物として明示的に提出することが有効である。口頭で共有した前提は、後で必ず食い違う。