背景・経緯

クリティカルパスとは、作業開始から作業終了までの最長日数の経路であり、同時にその工事の最短日数でもある。アロー型ネットワーク工程表の解説(新しいタブで開きます)でも、ネットワーク図が完成したら開始点から終点までの経路のうち最も所要時間が長いものを探す、という手順で説明されている。

一見すると矛盾した定義に見えるが、意味は明快である。この経路をこれ以上短縮できない以上、工事全体もそれより早くは終わらない。

詳細・ポイント

実務上の効用は、遅れの重みづけができる点にある。クリティカルパス上の作業が1日遅れれば工期は1日延びるが、経路外の作業はフロート(余裕)の範囲内であれば全体に影響しない。すべての遅れに同じ熱量で対応する必要はなくなる。

注意すべきは、クリティカルパスが固定ではないことである。ある経路の作業が大きく遅れれば、そこが新たなクリティカルパスになる。月次で工程を更新するなら、経路もその都度引き直す必要がある。

業界への波及効果

発注者との工期協議において、クリティカルパスの提示は説得力を持つ。「全体的に厳しい」ではなく、「この経路の承認待ちが2週間発生すると竣工が2週間延びる」と示せるかどうかで、協議の質は変わる。

近年は工程管理ソフトが自動で経路を算出するため、計算そのものの負荷は下がっている。読み解く側の理解が追いつくかが課題になる。

実務者のアクション

週次の工程会議では、まずクリティカルパス上の作業の進捗だけを確認する運用を勧めたい。会議時間が半分になり、判断の質は上がる。

外部要因(承認、検査、材料納入)が経路に含まれていないかを確認することも重要である。自社で制御できない作業がクリティカルパス上にあるなら、それが最大のリスクである。