背景・経緯

公共施設の整備計画が入札段階で止まる事例が全国で相次いでいる。日本総研が実施した基礎自治体アンケート調査(新しいタブで開きます)では、建設工事の入札不落の理由として「価格が合わない」が7割以上を占めた。

背景は複合的である。都心部の再開発や大型工場の新設による需要増、人材不足、労働時間規制による工期の長期化、そしてエネルギーコストと資材価格の上昇が同時に進行している。

詳細・ポイント

不調・不落が起きると、再入札のために数か月を要し、その間にさらに価格が上がるという悪循環に陥る。事業の停止や予算の組み替えを迫られる自治体は少なくない。

対策の中心は、市場実勢を反映した予定価格の設定である。過去の実績単価に依拠した積算では、現在の市場価格に届かない。企業が安心して応札できる環境整備が求められている。

業界への波及効果

受注側から見れば、応札しない判断は合理的である。赤字受注を避ける経営判断が広がった結果としての不調であり、業界の体質が変わったことの表れでもある。

工事費の高止まりを前提とした計画策定と、公共施設マネジメントの抜本的な見直しが必要という指摘は、施設の統廃合や規模適正化の議論に直結する。

実務者のアクション

自治体側は、設計段階で概算工事費を市場価格で複数回検証する運用を持ちたい。基本設計時の概算と入札時の予定価格の乖離が、不調の最大の原因になる。

事業者側は、応札しない場合でもその理由を発注者に伝える機会があれば活用したい。価格が合わないのか工期なのか体制なのかで、次回の条件は変わりうる。