背景・経緯

平準化の必要性は共有されても、実務としてどう発注するかは別問題である。国土交通省は地方公共団体における平準化の取組事例(新しいタブで開きます)として、先進事例を「さしすせそ」の頭文字で整理し、横展開を図ってきた。

その中心にあるのが債務負担行為の活用である。単年度予算主義のもとで年度をまたぐ工事を成立させる仕組みが、平準化の技術的な鍵になる。

詳細・ポイント

ゼロ債務負担行為(いわゆるゼロ市債・ゼロ国債)は、当該年度の支出を伴わない形で債務負担行為を設定し、年度内に契約手続きを進めて翌年度当初から施工に入る手法である。これにより、従来は空白だった年度当初に工事が動く。

国土交通省と総務省は連名で、社会資本総合整備計画に係る交付金事業についてもゼロ債務負担行為を設定して事業を実施できることを通知している。制度上使えないという誤解が、活用の障壁になっていた面がある。

業界への波及効果

年度当初に工事が動くようになると、技能者の稼働が安定し、賃金の年間変動が小さくなる。処遇改善の議論が、賃金単価だけでなく稼働日数の安定という側面を持つことが見えてくる。

活用の度合いは自治体規模によって差が大きく、小規模団体ほど事務負担が制約となる傾向がある。

実務者のアクション

自治体担当者は、翌年度当初に着手したい工事を数件選び、債務負担行為の設定を予算編成の議論に乗せるところから始められる。全件を対象にする必要はない。

受注側は、ゼロ債務による発注が増える地域では、年度末から年度当初にかけての技術者配置を見直す余地がある。従来の繁閑パターンが変わる。