背景・経緯
近年、建設業界では環境負荷低減と持続可能な開発への取り組みが強まっています。建築物やインフラの設計・施工・維持管理において、エネルギー効率の向上、資源の節約、廃棄物の削減などが求められています。このような状況下で、大成建設グループが福島県田村市に整備した「T-FIELD/TAMURA(たむラボ)」の本格運用が開始され、雨水を活用した水循環の自立化や生物多様性の保全/再生、次世代舗装技術の早期実用化が目指されています。詳細はBUILT (ITmedia)(新しいタブで開きます)で報じられている。
「T-FIELD/TAMURA」は、自然共生型管理棟(ゼロウオータービル、ZWB)、ネイチャーフィールド、舗装のテストコースの3施設から成ります。自然共生型管理棟は、水道水をバックアップ用途に限定し、建物単位で雨水を浄化して循環利用するZWBとして水循環の自立化を図っています。
ネイチャーフィールドは、舗装のテストコースの内側と外周部の造成地に整備され、早期樹林化を目指す自然の森と、半自然草原と湿地を設けています。地域由来の種子を用いて、30年間にわたり生態系/種/遺伝子の3つのレベルに配慮した自然再生を実証する予定です。
詳細・ポイント
「T-FIELD/TAMURA」の自然共生型管理棟は、約300平方メートルの屋根から集めた雨水を最大容量30トンの貯留槽に蓄え、浄化/ろ過して上水として利用します。生活排水は微生物膜処理によって中水化し、トイレの洗浄水に再利用する予定です。貯留槽と処理設備は、常時の施設利用者に加え、1日当たり30人の来訪者に対応できる容量として設計されています。
また、気象予報による降雨量、建物内の水使用量、過去の実績データ、入退館情報などを統合的にAIで処理し、雨水貯留槽に必要な貯水量を30分ごとに予測します。予測値に応じて雨水を取り込むバルブを自動制御することで、降雨量が多い季節でも必要最低限の水量を貯留し、消費電力の削減やフィルターの長寿命化を図ることができます。
業界への波及効果
「T-FIELD/TAMURA」の本格運用は、建設業界における環境負荷低減と持続可能な開発への取り組みを強めることになります。ゼネコンや設計事務所は、建築物やインフラの設計・施工・維持管理において、雨水の循環利用や生物多様性の保全/再生を考慮した設計や施工方法を採用する必要性が高まっています。
また、次世代舗装技術の開発は、道路や橋梁などのインフラの寿命を延ばし、維持管理の効率化を図ることができます。建設業界は、持続可能な開発と環境負荷低減を目指して、技術の開発と普及に努める必要があります。
実務者のアクション
建設業界の実務者は、以下のアクションを取ることが必要です。
1. 雨水の循環利用や生物多様性の保全/再生に関する技術や制度について学習し、設計や施工方法を改善する。
2. 次世代舗装技術の開発や普及に取り組み、インフラの寿命を延ばし、維持管理の効率化を図る。
3. 環境負荷低減と持続可能な開発を目指して、建設業界全体で技術の開発と普及に努める。