背景・経緯

令和元年6月の建設業法改正により、中央建設業審議会は建設工事の工期に関する基準を作成し、その実施を勧告できることとされた。これを受けて令和2年7月に工期に関する基準(新しいタブで開きます)が作成され、実施が勧告された。

その後、令和6年4月から建設業にも罰則付きの時間外労働規制が適用されることを踏まえ、令和6年3月27日の中央建設業審議会で見直しが審議され、同日その実施が勧告されている。

詳細・ポイント

改定の要点は、工期の設定に時間外労働規制の遵守を織り込むことである。令和6年3月の改定では、発注者は時間外労働規制を遵守した工期の見積が受注者から提出された際、その内容を尊重する必要があるとされた。

基準は、準備期間、施工期間、後片付け期間といった工事の各段階について、考慮すべき事項を列挙する構成をとる。天候、地域の慣習、労働災害の防止といった要素が、工期算定の根拠として位置づけられている。

業界への波及効果

この基準は「著しく短い工期の禁止」の判断基準としても機能する。工期ダンピングの抑止につながることが期待されている。

民間発注においても、基準の存在は交渉材料になる。従来は受注側が呑まざるを得なかった短工期に対し、公的な参照点が示された意味は小さくない。

実務者のアクション

受注側は、工期見積の根拠を基準の項目立てに沿って書面化しておきたい。口頭での「厳しい」は交渉にならないが、項目ごとの必要日数の積み上げは議論の土台になる。

発注側は、事業計画の段階で基準に沿った工期を織り込むことが結果的に安全である。着工後の工期変更は、予算と議会説明の両面で負担が大きい。