背景・経緯
社会福祉法人は非課税という優遇措置を受けているため、地域で困りごとを抱えた人の開かれた依存先となる責任がある。ライフの学校は、この責任を担い、「中間集団」になることを目指している。2011年に田中伸弥が入職し、2016年に特別養護老人ホームの施設長、2019年より理事長兼統括施設長に就任。田中理事長の原点は、兄の事故で感じた「人として向き合うこと」と、母の看取りで抱いた「その人らしい最期への問い」にある。
東日本大震災での経験も、ライフの学校の取り組みを形作った。震災で地域住民が避難してきた老人ホームの屋上に、田中さんは驚いた。開設から3年経っても、地域の人はその施設の存在を知らなかったのだ。有事のときだけ気づいて助け合うのでは遅い。平時から顔の見える関係がなければ、地域は守れない。そう思った田中さんは、生け垣をチェーンソーで切り倒し、庭をひらいた。
詳細はSUUMOジャーナル(新しいタブで開きます)で報じられている。
詳細・ポイント
ライフの学校は、2020年以降、コロナ禍5年間で事業領域を広げてきた。高齢者福祉、障害福祉、児童福祉、保育、就労支援、医療など、幅広い分野を担うようになった。現在は仙台市内に6つのキャンパスと「みんなの畑」を展開。福祉施設の枠を越え、地域の暮らしそのものを耕す「学びの拠点」として進化し続けている。
例えば、「雑巾縫い教室」は、認知症高齢者が隣接する幼稚園の年中児に雑巾縫いを教える教室で、週1回、10年以上も続く取り組みだ。高齢者は施設の中にいるとケアを受ける側だが、外に開くことで教える側(ケアをする側)になり子どもたちに元気づけられイキイキとする。子どもは老いを自然に受け入れ、そこに学びがある。
業界への波及効果
ライフの学校の取り組みは、建築業界全体に影響を与える。高齢者施設や保育所、交流施設を一体化した地域に開かれた居場所の創出は、将来の都市計画や建築設計に新たな可能性をもたらす。ゼネコンや設計事務所は、こうした新しいニーズに応えるために、従来の施設設計の枠を超えたアプローチを模索する必要がある。
また、ライフの学校の「分けない」アプローチは、障害のある人や高齢者のケアに新たな視点をもたらす。双方向のケアが当たり前に起きる環境を創出することで、ケアする側とケアされる側の関係が変化し、より人間らしいケアが実現できる。
実務者のアクション
実務者は、ライフの学校の取り組みから以下の3点を学ぶことができる。
1. 地域に開かれた場の創出:高齢者施設や保育所、交流施設を一体化した地域に開かれた居場所の創出を目指す。
2. 「分けない」アプローチの導入:障害のある人や高齢者のケアに「分けない」アプローチを導入し、双方向のケアが当たり前に起きる環境を創出する。
3. コミュニティの育成:地域住民や利用者が交わり、支え合い、学び合うコミュニティの育成を目指す。