背景・経緯
出来形管理は、施工管理の一部として契約図書に位置づけられている。土木工事では、国土交通省の土木工事施工管理基準及び規格値(新しいタブで開きます)が施工管理を工程管理・出来形管理(工事写真を含む)・品質管理の3つに分け、それぞれの管理項目と方法を定めている。各省局の基準は毎年3月に改定され、関東地方整備局では令和8年3月改定版が公開されている。
建築工事には同じ名前の基準がない。代わりに公共建築工事標準仕様書(建築工事編)(新しいタブで開きます)の総則が、品質計画をつくり、品質管理を行い、一工程の施工を確認して報告し、監督職員の検査を受ける、という流れで出来形と品質の確認を規定している。つまり「出来形管理」という言葉が指す書類と基準は、土木と建築で別物である。
詳細・ポイント
土木の出来形管理は「実測して設計値と対比する」までが定義。受注者は出来形を出来形管理基準に定める測定項目及び測定基準により実測し、設計値と実測値を対比して記録した出来形管理図表を作成して管理する、とされている。基準は工種・種別ごとに、測定項目・測定基準・規格値の3点セットで並ぶ。
測定箇所数は切り上げる。測定基準で測定箇所数が「○○につき1ヶ所」となっている項目は、小数点以下を切り上げた箇所数を測る。10mにつき1ヶ所なら35mは4ヶ所で、3.5ヶ所で止めると不足する。
規格値は全実測値が対象。出来形管理基準と品質管理基準により測定した各実測値は、すべて規格値を満足しなければならない。平均で収まっていれば良いという読み方は基準にない。外れた値が1つでもあれば、その箇所の扱いを決めて記録に残す必要がある。
基準がない工種は協議で決める。工事の種類・規模・施工条件等で基準によりがたい場合や、基準・規格値が定められていない工種は、監督職員と協議の上で施工管理を行う。ここを現場判断で埋めると、検査のときに根拠を示せない。
品質管理は別建て。品質は品質管理基準の試験項目・試験方法・試験基準で管理し、試験区分が「必須」の項目は全面的に実施、「その他」の項目は特記仕様書で指定されたものを実施する。出来形は寸法と形状、品質は材料と強度、と分けて組み立てる。
記録は都度・保管・提出。測定結果はその都度管理図表等に記録し、適切な管理のもとに保管し、監督職員の請求に速やかに提示するとともに、完成時に提出する。工事写真も同じ扱いで、施工段階と完成後に明視できない箇所の施工状況・出来形寸法・品質管理状況を、写真管理基準により撮影して保管・提出する。
建築は「確認→報告→検査」で回る。標準仕様書は、一工程の施工を完了したとき、または工程の途中で監督職員の指示を受けたときに、受注者が設計図書に適合することを確認して報告し、監督職員の検査を受ける、としている。検査に合格した工程と同じ材料・工法で施工した部分は、以後は抽出検査とすることができる。隠ぺい状態となる部分、一工程の完了時などは施工記録・工事写真・見本の整備が求められ、完成通知は工事関係図書の整備がすべて完了していることが要件になる。
3次元計測は土工で原則化されている。10,000㎥以上の土工の出来形管理は「情報化施工技術の使用原則化について」(平成25年3月15日付け 国官技第291号、国総公第133号)による。ICT施工で3次元データを用いる場合は、3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)の規定による。
出来形管理の組み立て方(実務者のアクション)
- 適用基準を特定する。発注者が国土交通省の地方整備局か自治体か、土木か建築かで基準が変わる。契約図書の共通仕様書と特記仕様書で、どの基準の何年版を使うのかを最初に確定する。
- 測定項目・測定基準・規格値を工種ごとに1枚の表にする。測定箇所数の数え方(切り上げ)も表に書き込む。ここを現場の担当者ごとに解釈させると、箇所数がばらつく。
- 測定のタイミングを工程表に埋め込む。埋戻し・被覆・仕上げの後では測れない。隠ぺい部は写真も同時に撮る前提で、工程のどこで止めるかを決めておく。
- 記録様式を着手前に決める。出来形管理図表の書式、写真の整理方法、3次元計測にする場合の帳票形式を、施工計画書の段階で揃えておく。
- 規格値を外れたときの扱いを先に決める。再施工か補修か、協議に上げる判断は誰がするか、再測定をどう行うか、記録にどう残すか。判断の基準を決めずに始めると、外れた値を現場が抱え込む。
- 完成通知の前に書類と現物を突合する。建築では工事関係図書の整備完了が完成通知の要件になる。検査の直前にまとめて揃えるのではなく、一工程ごとに閉じる。
つまずきやすいポイント
- 平均値で規格値を満たしたつもりになる。判定は全実測値が対象で、外れた1点の扱いを決めないまま先へ進むと、検査で戻る。
- 測定箇所数の切り上げを忘れる。数量の拾い出しと測定箇所数は別の計算である。
- 基準のない工種を現場判断で決め、協議記録を残さない。後から根拠を求められる。
- 埋戻し・被覆の後に、測れない・撮れない箇所が出る。工程表と測定計画が別々に作られていると起きる。
- 前の工地の様式をそのまま流用する。発注者が変われば基準も書式も変わる。
- 建築基準法の検査と契約上の検査を混同する。中間検査・完了検査は法令に基づく手続きで、監督職員の検査や工事検査とは根拠も目的も違う。
関連するガイドとツール
何をどの順で決めておくかは施工計画書とはに整理した。ICT施工の流れと資格はJCMA ICT施工検定試験、3次元データを使った検査は3Dデータを活用した建設業での検査工程の効率化で扱っている。写真の撮影と納品は電子小黒板と工事写真アプリ、オンラインでの検査は遠隔臨場による工事検査が近い。i-Constructionの全体像はi-Construction 2.0が目指す建設現場のオートメーション化。測定日から逆算した工程の余裕は工期計算で確認できる。