背景・経緯

施工管理は、工程管理・出来形管理・品質管理・写真管理の4つに分けて語られることが多い。このうち品質管理だけが「数値の管理」ではなく「説明の管理」になりやすい。測って合格したかどうかは試験成績書を見ればわかるが、その試験をどのロットから、どの頻度で、誰が立ち会って採ったのかは、記録が組み立てられていないと検査で示せない。

土木では土木工事施工管理基準及び規格値(新しいタブで開きます)の品質管理の部が、工種ごとに試験項目・試験方法・頻度・規格値を定めている。建築(官庁営繕)では公共建築工事標準仕様書(建築工事編)第1章 総則が、材料の品質確認、監督職員の検査(1.5)、記録等の整備(1.2.4)の枠組みを定め、試験の頻度や基準は特記仕様書と工種別の章に委ねる。同じ「品質管理」でも、表が置かれている場所が違う。

詳細・ポイント

頻度は「○○につき1回」の単位ごと読む。基準表の頻度欄は「1ロットにつき1回」「○○m³につき1回」「箇所につき1回」「日につき1回」のように書かれる。読み違えると、試験回数が足りないのか多すぎるのかが現場で判断できなくなる。まず自分たちの工事をロット(材料の受入単位・打設ブロック・層)に割る作業が先で、頻度表はその後に当てる。ロットの切り方は施工計画書の品質管理計画に書いて、監督職員と着手前に揃えておく。

判定は規格値との対比で、平均値では判断しない。試験結果の一覧を作ると平均や傾向に目が行くが、合否は個々の測定値が規格値を満たしているかで決まる。ばらつきの把握(管理図、ヒストグラム)は是正の判断材料であって、合否の代わりにはならない。出来形管理と同じで、1点でも外れていれば外れとして扱うのが原則になる。

材料の品質は「入ってきた時点」で押さえる。鉄筋のミルシート、セメント・骨材の試験成績書、JISマーク品や大臣認定品の表示、レディーミクストコンクリートの納品書など、受入時に品質を証明する書類が揃っているかを確認する。建築では、材料の承認(施工計画書・材料サンプルによる承認)と、承認された材料が実際に使われているかの確認が対になる。承認した材料と違うものが入っていないかは、写真と納品書の突合でしか示せない。

施工中の試験は、後戻りできない工程の直前に置く。盛土の締固め度、アスファルト混合物の温度と締固め度、コンクリートのスランプ・空気量・塩化物含有量、溶接の外観と非破壊検査など、対象は工種で変わる。共通するのは、検査を通過しないと次の工程に進めないという順序。工程表に試験を点として置くと、試験待ちで作業が止まる。通過を前提に準備し、不合格だった場合にどこまで戻るかを決めておく。

結果が遅れて出る試験を工程に織り込む。コンクリートの圧縮強度は材齢28日で判定するのが標準で、打設した日から結果判明まで4週間ある。この間にも次の層・次のブロックは進む。だから強度が不合格だった場合の影響範囲(同じ配合で打った部位)を、試験結果が出る前に把握できるようにしておく。配合・打設日・部位・試験ロットを最初から紐づけて記録するのは、この逆引きのためでもある。

情報化施工では、記録の取り方が変わる。TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理のように、品質管理の一部が自動計測と電子的な記録に置き換わる要領がある。記録が自動で残るようになっても、どの層をどの範囲で管理したかの判定と、外れたときの是正は人の仕事で、要領ごとに出来形・品質の管理方法が定められている点は変わらない。

品質管理の組み立て方(実務者のアクション)

  1. 適用する基準と年版を確定する。土木は施工管理基準(発注者ごとに年版がある)、建築は公共建築工事標準仕様書と特記仕様書。契約図書のどこを見るかを、着手前に1枚にまとめる。
  2. 工種ごとに試験・検査項目と頻度を抜き出し、品質管理計画にする。施工計画書の品質計画に、項目・頻度・方法・判定基準・記録様式を並べる。ここが検査で最初に見られる。
  3. ロットとサンプリング位置を先に決める。1ロットの範囲、試料を採る位置(層ごとか、打設ブロックごとか)、立会の要否を決めておく。判断は現場任せにしない。
  4. 外部試験のリードタイムを工程表に反映する。材齢28日の強度、非破壊検査の予約、分析機関の納期。結果待ちの期間を「余裕」ではなく「工程」として置く。
  5. 不合格時の手順を着手前に協議する。追加試験をするのか、再施工するのか、協議して設計変更の対象にするのか。手順を決めずに不合格が出ると、現場が止まるか、記録が後追いになるかのどちらかになる。
  6. 記録の置き場を統一する。試験成績書、立会写真、管理図、是正の記録を、部位・日付・ロットで紐づけて同じ場所に置く。紙と電子が混在するなら、どちらが正かも決める。

つまずきやすいポイント

  • 「○○につき1回」の単位を取り違える。m³あたりか、箇所あたりか、日あたりかで回数が変わる。単位を計画書に書き写しておく。
  • サンプリングが偏る。同じ日・同じ場所・同じ施工班の試料ばかりになると、管理になっていない。ロットの代表になる位置を、採る前に決める。
  • 不合格を現場で抱え込む。数値が外れたことを後から報告すると、是正の選択肢が減る。外れた時点で協議に入るのが契約上の筋。
  • 品質証明書があれば試験不要と誤解する。公的機関の品質証明書で代用できるのは限られた範囲で、条件は基準側に書かれている。写真の省略条件とも別物なので混同しない。
  • 結果待ちで工程が止まる。材齢28日を知っていながら、打設計画と試験計画を別々に立てるとこうなる。
  • 管理図を成績書の代わりにする。傾向管理は有効だが、合否は個々の測定値と規格値の対比。役割を分けて使う。

関連するガイドとツール

品質管理と対になる測定の管理は出来形管理とは、その証拠を残す写真の扱いは工事写真の管理とは。計画への落とし込みは施工計画書とは、情報化施工の資格はJCMA ICT施工検定試験。検査のオンライン化は遠隔臨場による工事検査、試験待ちを含めた日程は工期計算で確認できる。