背景・経緯

工事写真は、施工管理の証拠として契約図書に位置づけられている。土木では写真管理基準(案)(新しいタブで開きます)が、土木工事施工管理基準に定める工事写真による管理(デジタルカメラを使用した撮影から提出まで)に適用され、写真を映像と読み替えることも可としている。

建築(官庁営繕)では営繕工事写真撮影要領(新しいタブで開きます)(令和5年改定)が、公共建築工事標準仕様書等に係る工事写真(電子媒体による提出を含む)の撮影及び整理に適用される。同じ「工事写真」でも、従う表も黒板の項目も別物である。

詳細・ポイント

撮影頻度は一覧表で決まる。土木は撮影箇所一覧表の「撮影頻度」に基づいて撮影する。区分は、着手前及び完成写真(既済部分写真等を含む)・施工状況・安全管理・使用材料・品質管理・出来形管理・災害・事故・その他(公害、環境、補償等)の9つ。建築は別添の撮影対象表が基準で、改修工事で対象部位の撤去等を含む場合は解体工事編も参照する。

黒板の項目が違う。土木の小黒板は①工事名②工種等③測点(位置)④設計寸法⑤実測寸法⑥略図。建築の黒板は①工事名②工事種目③撮影部位④寸法・規格・表示マーク⑤撮影時期⑥施工状況⑦立会者名・受注者名⑧その他。土木に「測点」と「略図」、建築に「立会者名」が入る違いは、管理の単位が土工の出来形か部材の品質かという違いに出ている。判読が難しい場合は、土木はデジタル写真管理情報基準に規定する写真情報に必要事項を記入し、建築は必要事項を添付して整理する。

編集は禁止、電子小黒板は例外。写真の信憑性を考慮して、写真編集は認めない。ただし小黒板情報の電子的記入は編集に当たらない(土木は「デジタル工事写真の小黒板情報電子化についての一部改定について」令和5年3月15日付け 国技建管第6号)。電子小黒板は撮った後に文字を足す道具ではなく、撮る時点で情報を埋め込む道具だと理解しておくと、現場の運用がぶれない。

省略できる条件が決まっている。土木では、(1)品質管理写真は公的機関で実施された品質証明書を保管整備できる場合、(2)出来形管理写真は完成後測定可能な部分について出来形管理状況のわかる写真を工種ごとに1回撮影すれば後は省略、(3)監督職員または現場技術員が臨場して段階確認した箇所は出来形管理写真を省略でき、臨場時の状況写真も不要とされている。建築は撮影対象表に記載のない撮影対象を監督職員と協議して決める。省略は「撮らない理由を記録に残す」作業だと考えると、検査で説明できる。

情報化施工では要領が重なる。3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)による出来形管理、TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理要領による品質管理を行った場合、写真の撮影頻度と撮影方法は写真管理基準のほか、それぞれの要領の規定にもよる。ICT施工の写真は、基準が二重になっている前提で計画する。

提出の形。土木は撮影箇所一覧表に基づいて撮影した写真原本を電子媒体に格納し、監督職員に提出する。整理及び格納方法はデジタル写真管理情報基準による。建築は原本とアルバムを工事完成時に各1部提出し、原本は電子媒体(撮影時のJPEG)、アルバムは協議により紙媒体か電子媒体とする。写真は他の工事関係資料とは別の電子媒体に格納する。

写真管理の組み立て方(実務者のアクション)

  1. 適用する基準と年版を確定する。土木か建築か、発注者が誰かで根拠が変わる。土木は3月版として毎年改定され、建築も要領の改定版がある。契約図書で年版まで確認する。
  2. 撮影箇所一覧表(建築は撮影対象表)を工種ごとに抜き出し、1枚の撮影計画にする。頻度と時期(施工前・施工中・埋戻し前・型枠取外し後など)を工程表に紐づける。ここが写真管理の実体で、一覧表を現場で初めて開くと必ず漏れる。
  3. 黒板の様式を統一する。記載項目、測点の呼び方、略図の書き方を着手前に固定する。電子小黒板を使うならテンプレートも同じタイミングで固める。
  4. 省略する箇所を先に決めて協議する。品質証明書で代替できる試験、完成後も測定できる出来形、段階確認で代替する箇所。協議した内容は打合簿に残す。
  5. 写真の置き場所を決める。土木はデジタル写真管理情報基準のフォルダ構成、建築は工事種目又は分類ごとの整理。撮った後の置き場が決まっていないと、提出直前に大量の写真を仕分けることになる。
  6. 提出前に見取り図と突合する。撮影箇所がわかりにくい場合には、撮影位置図・平面図・構造図などの見取り図を添付する。

つまずきやすいポイント

  • 前の工地の黒板様式をそのまま使う。測点で管理する現場と撮影部位で管理する現場では、項目の意味が違う。
  • 「適宜」を「撮らなくてよい」と読む。適宜は、設計図書の仕様が写真により確認できる必要最小限の箇所や枚数を指す。
  • 埋戻し・被覆の後に、不可視部分の写真がない。不可視となる出来形部分は、上墨寸法を含めて確認できるように撮る必要がある。
  • 省略の根拠を残さず、検査で「なぜ無いのか」を説明できない。協議記録と品質証明書が根拠になる。
  • 電子小黒板で撮影後に文字を足し、編集とみなされる。埋め込むのは撮影時点、が原則。
  • 一覧表に記載のない工種を独断で処理する。写真管理項目は監督職員と協議して定める事項になっている。

関連するガイドとツール

写真と対になる測定の計画は出来形管理とは。電子小黒板と写真アプリの選び方は電子小黒板と工事写真アプリ、撮った写真で検査をオンライン化する話は遠隔臨場による工事検査と3Dデータを活用した建設業での検査工程の効率化で扱っている。ICT施工の流れと資格はJCMA ICT施工検定試験、施工計画書への落とし込みは施工計画書とは。撮影日から逆算した余裕は工期計算で確認できる。