結論 — 「全省庁統一資格」と「建設工事の参加資格」は別制度

最初に、最も多い誤解を潰しておく。

全省庁統一資格を取得しても、国の建設工事の入札には参加できない。 全省庁統一資格は「物品の製造・販売等」に係る資格であり、建設工事は制度の対象外だからだ。工事の参加資格は省庁ごとに別に定められていて、国土交通省の工事なら国土交通省の、防衛省の工事なら防衛省の資格が必要になる。

調達ポータルの説明はこうなっている。

> 統一基準で審査した各省庁が定める物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)参加者の資格です。各省庁が掲げる申請場所のいずれか1か所に申請し、資格を付与された場合において、その資格は該当する競争参加地域のうち、希望する地域ごとに所在する各省庁の全調達機関において有効な統一資格となるものです。

「物品の製造・販売等」と書いてある。ここに工事は入っていない。公共工事の入札説明書に「全省庁統一資格を有すること」と書かれていたら、それは物品調達の案件か、あるいは記載が誤っている。

2つの制度を並べると、違いははっきりする。

| | 全省庁統一資格 | 建設工事の一般競争参加資格(国交省の例) |

|---|---|---|

| 対象 | 物品の製造・販売、役務の提供など | 建設工事22工事種別、測量・建設コンサルタント等5業種区分 |

| 窓口 | 各省庁の申請場所1か所(調達ポータルでオンライン申請可) | 本店所在地を管轄する地方整備局等(要領別表) |

| 有効範囲 | 希望する競争参加地域(8地域)ごとに各省庁の全調達機関 | 申請した部局。2以上の部局を希望する場合は本店所在地の部局長に申請すればまとめて審査される |

| 有効期間 | 令和07・08・09年度の3年間 | 2年(今回の定期審査は認定日〜令和11年3月31日) |

| 等級 | 公示の別記4・別記5で算出方法を規定 | 要領第4(22種別中6種別のみ)+第7の格付 |

| 根拠 | 会計法、予算決算及び会計令、各省の公示 | 会計法29条の3第2項→予決令70条・71条→国土交通省所管会計事務取扱規則34条→工事請負業者選定事務処理要領 |

以下、建設工事側を一次資料で追いかける。根拠にしたのは、国土交通省が令和8年10月1日付で出した「競争参加者の資格に関する公示」(令和9・10年度)と、同時に出された「工事請負業者選定事務処理要領」の一部改正(令和8年9月18日付 国会公契第15号)だ。

なぜ省庁ごとにバラバラでよいのか — 法体系を1本の線で押さえる

「統一」されていないことに不安を感じるかもしれないが、法律上はむしろ各省庁が定める建前になっている。線はこうつながっている。

  1. 会計法29条の3第1項 — 契約担当官等は、売買・貸借・請負その他の契約を締結する場合、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない(一般競争原則)。
  2. 同条第2項 — 「前項の競争に加わろうとする者に必要な資格及び同項の公告の方法その他同項の競争について必要な事項は、政令でこれを定める」。
  3. 予算決算及び会計令70条・71条 — 70条は「参加させることができない者」(契約を締結する能力を有しない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律32条1項各号に掲げる者)。71条は「3年以内の期間を定めて参加させないことができる者」(粗雑な施工、公正な競争の執行を妨げた、連合した、履行を妨げた、など)。
  4. 各省の会計規則 — 国土交通省なら国土交通省所管会計事務取扱規則34条。
  5. 部局長が定める要領 — 工事請負業者選定事務処理要領。地方整備局の長が、希望工事種別ごとの年間平均完成工事高、技術職員数、元請完成工事高、経審の項目、工事成績といった審査基準を定める。

つまり国の法律は「欠格事由」と「3年の参加制限」という外枠だけを政令で決め、具体的な審査基準は各省庁の規則と要領に委ねている。だから各省庁で等級の金額も受付時期も違って当たり前で、他省庁の資格を流用することもできない。

22工事種別と、許可業種との対応

国土交通省(地方整備局の道路・河川・官庁営繕・公園関係、国土技術政策総合研究所、大臣官房官庁営繕部)の建設工事は、次の22種別に分かれる。かっこ内は建設業法別表第一の建設業許可の種類で、要領ではなく公示の注記に書かれている対応関係だ。

| # | 工事種別 | 対応する建設業許可 |

|---|---|---|

| ① | 一般土木工事 | 土木一式、とび・土工・コンクリート、石、タイル・れんが・ブロック、水道施設、解体 |

| ② | アスファルト舗装工事 | 舗装 |

| ③ | 鋼橋上部工事 | 鋼構造物 ほか |

| ④ | 造園工事 | 造園 |

| ⑤ | 建築工事 | 建築一式 ほか |

| ⑥ | 木造建築工事 | 建築一式 |

| ⑦ | 電気設備工事 | 電気 |

| ⑧ | 暖冷房衛生設備工事 | 管工事 ほか |

| ⑨ | セメント・コンクリート舗装工事 | 舗装 |

| ⑩ | プレストレスト・コンクリート工事 | 土木一式、とび・土工・コンクリート、解体 |

| ⑪ | 法面処理工事 | 土木一式、とび・土工・コンクリート、防水 |

| ⑫ | 塗装工事 | 塗装 |

| ⑬ | 維持修繕工事 | 土木一式 ほか(河川・道路の維持修繕) |

| ⑭ | 河川しゅんせつ工事 | 土木一式 ほか |

| ⑮ | グラウト工事 | 土木一式 ほか |

| ⑯ | 杭打工事 | 土木一式 ほか |

| ⑰ | さく井工事 | さく井 |

| ⑱ | プレハブ建築工事 | 建築一式 |

| ⑲ | 機械設備工事 | 機械器具設置、鋼構造物 |

| ⑳ | 通信設備工事 | 電気通信、鋼構造物 |

| ㉑ | 受変電設備工事 | 電気 |

| ㉒ | 橋梁補修工事 | 土木一式、とび・土工・コンクリート、石、電気、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、塗装、防水、機械器具設置、電気通信、解体 |

ここで実務上の注意が2つある。

1つ目は、官庁営繕部だけ種別が絞られること。 大臣官房官庁営繕部が所掌する建設工事は、①④⑤⑦⑧⑫⑯⑲⑳㉑の10種別に限られる。同じ「国土交通省の資格」でも、申請先の部局によって扱える種別が違う。

2つ目は、港湾空港関係は別制度だということ。 要領の第1条は「地方整備局(港湾空港関係事務に関することを除く)」と明記している。港湾・空港の工事は別の要領と別の申請先になる。

なお、測量・建設コンサルタント等業務はさらに別で、業種区分は①測量②建築関係建設コンサルタント③土木関係建設コンサルタント④地質調査⑤補償関係コンサルタントの5つ。申請先も別のシステム(pqrc.mlit.go.jp)になる。

申請先は本店所在地で決まる

受付担当部局は、本社(本店)の所在地で機械的に決まる。要領の別表がそれで、たとえば次のとおり。

| 本店所在地 | 受付担当部局 |

|---|---|

| 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 | 東北地方整備局 |

| 東京都、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨 | 関東地方整備局 |

| 新潟、富山、石川、長野(一部市町村を除く) | 北陸地方整備局 |

| 岐阜、静岡、愛知、三重、長野(一部市町村) | 中部地方整備局 |

| 京都、大阪、福井、滋賀、兵庫、奈良、和歌山 | 近畿地方整備局 |

| 鳥取、島根、岡山、広島、山口 | 中国地方整備局 |

| 徳島、香川、愛媛、高知 | 四国地方整備局 |

| 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 | 九州地方整備局 |

「東京本社だから関東地方整備局」で終わりではない。2以上の部局の資格を希望する場合は、本店所在地を所管する部局長に申請すれば、その部局長がまとめて審査する(要領第6の2第3項)。九州にも支店があるから九州地方整備局にも申請しなければならない、ということはない。

等級区分があるのは、22種別中6つだけ

ここが今回いちばん驚かれるところだと思う。22工事種別のうち、等級区分が定められているのは6種別しかない。

要領第4第1項が定める金額境界は次のとおり。金額は「工事の予定価格」であって、業者の売上ではない点に注意してほしい。

| 工事種別 | A | B | C | D |

|---|---|---|---|---|

| 一般土木工事 | 8億2,000万円以上 | 3億4,000万円以上8億2,000万円未満 | 7,000万円以上3億4,000万円未満 | 7,000万円未満 |

| 建築工事 | 8億2,000万円以上 | 3億4,000万円以上8億2,000万円未満 | 7,000万円以上3億4,000万円未満 | 7,000万円未満 |

| アスファルト舗装工事 | 1億4,000万円以上 | 6,000万円以上1億4,000万円未満 | 6,000万円未満 | — |

| 電気設備工事 | 2億3,000万円以上 | 6,000万円以上2億3,000万円未満 | 6,000万円未満 | — |

| 暖冷房衛生設備工事 | 2億3,000万円以上 | 6,000万円以上2億3,000万円未満 | 6,000万円未満 | — |

| 造園工事 | 3,000万円以上 | 3,000万円未満 | — | — |

残り16種別(鋼橋上部、木造建築、セメント・コンクリート舗装、PC、法面処理、塗装、維持修繕、しゅんせつ、グラウト、杭打、さく井、プレハブ建築、機械設備、通信設備、受変電設備、橋梁補修)は等級区分なしで、順位だけが付く。

等級は「発注側」と「受注側」の両方に付く

等級の仕組みは2段構えで、ここを混同すると理解がずれる。

発注側 — 要領第4は、工事を予定価格でA〜Dに区分する。予定価格8億2,000万円以上の一般土木工事は「A等級の工事」になる。

受注側 — 要領第7第2項が、業者を等級に格付ける。希望工事種別ごとに総合点数の高点順(同点なら年間平均完成工事高の順)に並べ、等級別発注件数分布率を基準とし、等級ごとに必要な工事施工能力を勘案して、高点順に等級と順位を付ける。

つまり「A等級の工事はA等級の業者が受ける」というマッチングが組まれている。そして等級を決めるのは総合点数であって、売上高だけではない。総合点数は要領第2第2号で次のように分解される。

  • 客観的事項 — 希望工事種別ごとの年間平均完成工事高、技術職員の数(1人が技術職員として申請できるのは2種別まで)、元請完成工事高、経営事項審査の項目
  • 主観的事項(特別事項) — 主観的事項の審査基準日(定期審査の認定をする年の前年の10月1日)の前日までの4年間における、地方整備局・官庁営繕部発注工事の工事成績と、都道府県発注工事の工事成績

経審の点数が同じでも、国交省の工事で4年間に残した成績が効いてくる。これが国交省版の特徴で、他省庁にはない仕組みだ。

売上だけ伸ばしても上がれない人がいる

要領第7第1項のなお書きに、見落とされやすい規定がある。一般土木工事、アスファルト舗装工事、造園工事の3種別では、技術評価点数が零点の者は最下位等級とする。

技術評価点数は「工事請負業者の資格を定める場合の総合点数の算定要領」(昭和41年12月23日付 建設省厚第79号)第4に基づいて計算される。技術者や工事成績の評価がゼロなら、経審の点数が高くても最下位等級に固定される。建築・電気設備・暖冷房衛生設備にはこの規定がないので、種別によって扱いが違う。

なお、等級区分そのものは固定ではない。要領第4第2項により、①特定種別の資格者が著しく少数、②特定種別の発注予定件数が著しく少数、③特定の等級区分の発注予定工事件数が著しく多数または少数(零を含む)——のいずれかであれば、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けて区分を変更し、または区分を設けないことができる。ただし変更後の最上位等級の下限を引き上げることはできない。

有効期間は2年。「毎年更新」ではない

「入札参加資格は毎年更新」と思っている人が多いが、国土交通省の工事は2年に1回だ。

  • 要領第4の2 — 「一般競争参加資格審査は、2年に1回定期の一般競争参加資格審査を行うほか、随時に行うものとする」
  • 要領第9 — 有効期間は、認定されたときから、次期の定期審査に基づく有効期間の開始日の前日まで
  • 今回の公示 — 「有効期間 令和 年 月 日から令和11年3月31日まで」(認定の日から令和11年3月31日まで)

令和9・10年度の2年間が今回の単位で、令和11年3月31日に一斉に切れる。次は令和11・12年度の定期審査ということになる。

ここで押さえておきたいのは、有効期間の始まりは「認定の日」であって4月1日ではないという点だ。定期審査に間に合わず随時審査で認定された場合、有効期間は認定日から令和11年3月31日まで、つまり2年に満たない。翌年度も同じ資格でいられるが、期間は短くなる。

令和9・10年度の日程 — 定期審査は12月1日から1月15日

今回の定期審査のスケジュールは公示に明記されている。申請の受付は令和8年12月1日から令和9年1月15日まで。ただし、その前にパスワード請求とデータ取得という関門がある。

| 時期 | 手続き | 備考 |

|---|---|---|

| 令和8年11月2日〜12月28日 | パスワード請求(インターネット申請) | データ取得より先に必要 |

| 令和8年11月2日〜令和9年1月15日 | 申請用データの取得 | pqr.mlit.go.jp |

| 令和8年12月1日〜令和9年1月15日 | 申請データの送信(定期) | 建設工事 |

| 令和8年12月1日〜令和9年1月15日 | 申請データの送信(定期) | 測量・建設コンサルタント等は pqrc.mlit.go.jp |

| 令和9年1月16日以降 | 随時審査の受付 | 持参・郵送・電子メール |

| 審査後 | 一般競争(指名競争)参加資格認定通知書(様式特5) | 電子メール送付も可 |

郵送・持参・電子メールで申請する場合の締切は、定期審査が令和9年1月15日(消印有効)、電子メールは最終日の16時まで。デジタル申請でも締切時刻は容赦なく来る。

申請書は「一般競争(指名競争)参加資格審査申請書(建設工事)」(様式1)。国土交通省の資格審査のページ(mlit.go.jp/chotatsu/shikakushinsa/)からダウンロードする。

申請できるかどうかは「経審の1年7か月」で決まる

ここが実務で最も事故が起きるポイントだ。経営事項審査(経審)を受けていても、その審査基準日が古いと申請できない。

要領第2第1号ホは、経審を受けていることを要件としたうえで、定期審査については「告示(平成20年国土交通省告示第85号)第一の一の2に規定する審査基準日が、第6第1号の部局長が定める期間の末日の1年7月前の日より後のもの」と定めている。

今回の定期審査の受付期間末日は令和9年1月15日。その1年7月前の日は令和7年6月15日。つまり、経審の審査基準日が令和7年6月15日より後でなければ申請できない。

決算月ごとに何が必要かを整理するとこうなる。

| 決算月 | 定期審査に使える経審 | 使えない経審 |

|---|---|---|

| 3月 | 令和8年3月決算(基準日 令和8年3月31日) | 令和7年3月決算(基準日 令和7年3月31日=令和7年6月15日より前) |

| 6月 | 令和8年6月決算 | 令和7年6月決算 |

| 9月 | 令和8年9月決算 | 令和7年9月決算 |

| 12月 | 令和7年12月決算 | 令和6年12月決算 |

3月決算の会社は、令和8年3月決算の経審が必須になる。令和7年3月決算の経審では、審査基準日が令和7年3月31日で令和7年6月15日より前になるため弾かれる。ここで「去年の経審でいいだろう」と出すと、受理されないか、審査の土台を欠いたまま返される。

3月決算の逆算カレンダー

決算から申請までの逆算はこうなる。建設業許可の決算変更届は事業年度経過後4か月以内、経審の通知まではおおむね1〜1.5か月かかる。

| 時期 | やること |

|---|---|

| 令和8年3月 | 決算 |

| 令和8年5月〜7月31日 | 建設業許可の決算変更届(工事経歴書・施工金額・財務諸表) |

| 令和8年7月〜8月 | 経営事項審査の申請 |

| 令和8年9月〜10月 | 総合評定値通知書の受領 |

| 令和8年11月2日〜12月28日 | 申請用パスワードの請求、データ取得 |

| 令和8年12月1日〜令和9年1月15日 | 参加資格審査の申請データ送信 |

7月31日の決算変更届が遅れると、経審が10月に間に合わず、12月の申請に間に合わない。2年に1回の定期審査を逃すと、次のチャンスは2年後だ。随時審査で拾えるが、有効期間は認定日から令和11年3月31日までとなり、実質的に半年から1年損をする。

随時審査の場合も同じ理屈で、審査基準日が申請日の1年7月前の日より後でなければならない。急いでいるときほど、手元の経審が古くないか確認したい。

添付書類は、申請方式で変わる

要領第5は、提出させる書類を方式ごとに分けている。

インターネット方式(建設工事) — 添付書類が最も少ない。総合評定値通知書の受領確認でよく、納税証明書は電子納税証明書であればそのまま送信できる。紙のやり取りを減らしたいなら、インターネット方式が圧倒的に楽だ。

持参・郵送・電子メール方式 — 次をそろえる。

  1. 一般競争(指名競争)参加資格審査申請書(建設工事)(様式1)
  2. 工事分割内訳表(様式2)— 2以上の種別に分割して申請するとき、または総合評定値通知書の二以上の年間平均完成工事高を一の種別に合算するとき
  3. 業態調書(様式3)
  4. 営業所一覧表(様式4)
  5. 共同企業体協定書の写し(共同企業体の場合)
  6. 総合評定値通知書の写し
  7. 納税証明書(その2、およびその3・その3の2・その3の3)
  8. 申告書の提出義務がない場合の証明書類 — 個人は所得税及び復興特別所得税の申告に関する申出書(様式5)、法人は法人税の申告に関する申出書(様式6)

ここでつまずきやすいのは納税証明書の種類だ。「その2」だけでは足りない。その3・その3の2・その3の3も求められる。提出部数は1部。

認定後の変更届と、取消し

資格を取って終わりではない。要領第13は変更等の届出を定めている。

  • 建設業法12条各号に該当(廃業、死亡、解散など)となったとき — 速やかに届出
  • 法2条第1号の欠格要件に該当するに至ったとき — 届出
  • 認定通知後、次の事項に変更があったとき — 速やかに「一般競争(指名競争)参加資格審査申請書変更届(建設工事)」(様式7)で届出
  1. 住所、電話番号、ファクシミリ番号
  2. 商号または名称、代表者の氏名
  3. 建設業の許可(更新・新規・業種追加など)
  4. 経営事項審査の結果(総合評定値の変動)
  5. 営業所の名称・所在地
  6. 技術職員の異動
  7. その他資格審査の基礎となる事項

逆に、資格を取り消される場合もある。要領第14は、法12条該当、欠格要件該当、申請書やデータの重要事項についての虚偽記載・不記載があった場合などに認定を取り消すと定めている。取消しは「一般競争参加資格認定取消通知書」(様式特6)で通知される。

認定されると「有資格業者名簿」(様式特2)に載る。業者コード、建設業許可番号、順位、企業規模、残留措置、経常利益率、資格者証所持者数、許可業種などが記録される。発注者はこの名簿を見て指名する。

等級は「指名」で効く。一般競争とは別

等級の意味が変わるのが指名競争だ。要領第16(指名基準)は8項目を定めている。

  1. 原則 — 予定価格の等級に属する有資格業者で、発注予定工事の予定価格に相応するものの中から指名しなければならない
  2. 下位等級の指名 — 予定価格が比較的小さく技術的難易度が低い工事では、直近の下位等級の業者を指名できる
  3. 上位等級の指名 — 予定価格が比較的大きく技術的難易度が高い工事では、直近の上位等級の業者を指名できる
  4. 少数・必要がある場合 — 上位または下位等級の業者を指名できる。ただし、原則どおり指名する者を競争に参加する者の数の2分の1以上としなければならない
  5. 2等級下位の特例 — 原則等級の2等級下位の等級に属する業者で工事成績が特に優秀なものを指名できる
  6. 特別な技術を要する工事 — 当該種別の有資格業者で2等級以上上位の者(上位業者)を、上位業者指名承認申請書(様式特7)を国土交通大臣に提出し、承認を受けて指名できる。地方整備局の事務所から申請する場合は部局長を経由する
  7. 災害その他緊急 — 2等級以上上位の者を指名できる
  8. 偏らないようにする義務 — 不誠実な行為の有無、経営状況、工事成績、地理的条件、手持ち工事の状況、技術的適性、安全管理の状況、労働福祉の状況を留意し、指名が特定の業者に偏らないようにしなければならない

5号と6号は、等級の壁を越える数少ない正規ルートだ。工事成績が特に優秀なら2等級下の工事に入れる、特別な技術があれば大臣承認で2等級以上上の工事に入れる。等級が下がって悔しい思いをしたとき、政治力ではなく工事成績と技術で越える道が制度として用意されている。

一方、一般競争入札は等級と無関係に参加できる。資格と種別が合っていれば、A等級の工事にD等級の業者が入札できる。等級が効くのは指名競争の場面だ。

やりがちな誤解5つ

  1. 全省庁統一資格を取れば国の工事に入札できる — 入れない。物品の製造・販売等の資格であり、工事は省庁ごとの別制度。工事の入札公告に「全省庁統一資格」とあれば、まず記載を疑う。
  2. 等級は売上高で決まる — 総合点数(客観=経審・完成工事高・技術職員数、主観=国交省・都道府県発注工事の4年分の工事成績)の高点順に、等級別発注件数分布率を基準として格付ける。しかも一般土木・アスファルト舗装・造園では技術評価点数零点なら最下位等級に固定される。
  3. 毎年更新する — 2年に1回。今回は令和9・10年度で、認定日から令和11年3月31日まで。
  4. 一度取れば全国で使える — 国交省の工事は2以上の部局をまとめて審査してもらえるが、他都道府県や他省庁の資格には使えない。自治体の入札参加資格は各自治体に別途申請する。
  5. 申請すれば認定される — 欠格事由(予決令70条)、3年以内の参加制限(同71条)、経営状態が著しく不健全、虚偽記載があれば通らない。そして経審の審査基準日が1年7か月以内でなければ審査の土台がない。

総務が回す年間カレンダー

資格は取った後が本番だ。2年に1回の山場を軸に、毎年の業務を並べる。3月決算の会社を例にする。

| 時期 | やること | 根拠 |

|---|---|---|

| 3月 | 決算 | — |

| 4月〜7月31日 | 建設業許可の決算変更届(4か月以内) | 建設業法11条2項 |

| 7月〜8月 | 経営事項審査の申請 | 建設業法27条の23 |

| 9月〜10月 | 総合評定値通知書の受領 | — |

| 10月1日 | 主観的事項の審査基準日(定期審査の認定をする年の前年の10月1日) | 要領第2第2号ロ |

| 11月〜12月 | 参加資格の定期審査の準備(パスワード請求は11月2日〜12月28日) | 公示 |

| 12月1日〜1月15日 | 定期審査の申請(2年に1回) | 公示・要領第4の2 |

| 随時 | 変更届(様式7)— 住所・代表者・許可・経審結果・技術職員など | 要領第13 |

| 随時 | 建設業法12条該当(廃業等)は速やかに届出 | 要領第13第1項 |

「2年に1回」を「毎年」と誤解していると、申請の年に気づかず2年間のブランクを作る。令和8年12月1日から令和9年1月15日という日付を、今のうちに社内カレンダーへ入れておいてほしい。

まとめ

  • 全省庁統一資格は物品・役務の資格。工事は省庁ごとに別制度で、国交省は工事請負業者選定事務処理要領が根拠
  • 建設工事は22種別。等級区分があるのは6種別だけで、一般土木と建築はA8億2,000万円/B3億4,000万円/C7,000万円/D
  • 等級は予定価格の区分と、総合点数による業者の格付の両方から成る。技術評価点数零点は最下位固定(一般土木・アスファルト舗装・造園)
  • 有効期間は2年。令和9・10年度は令和8年12月1日〜令和9年1月15日が申請期間で、認定日から令和11年3月31日まで
  • 申請の可否は経審の審査基準日が令和7年6月15日より後かで決まる。3月決算なら令和8年3月決算の経審が必要
  • 指名競争では等級が効くが、工事成績が特に優秀なら2等級下位、特別な技術なら大臣承認で2等級以上上位の工事に入れる

次の確認は、自分の会社がどの種別でどの等級にいるかを、認定通知書(様式特5)で見ることから始めるとよい。種別ごとに順位と等級が書かれている。

関連する実務は建設業許可の取り方と経営事項審査の受け方で確認できる。定期審査の前提になる決算変更届の期限は変更届と決算変更届、認定後の技術者の異動は技術者配置と名簿、下請との取引条件は下請代金の支払期日と下請指導、工事が不調・不落になったときの扱いは入札不調・不落への対応につながる。制度変更の施行日は建設業の法改正・制度 施行日カレンダーで追っている。